市民と直接関わりのある職員にこそ勧めたい!

谷威 様
明石市市民・健康部 健康推進課 母子保健係長 谷威 様
現在のお仕事、および今までのお仕事についてお聞かせください。
卸売市場、秘書課、市長室、地域医療課を経て、今は健康推進課で母子保健係長をしています。
谷 威さん
谷様は、平成25年度は基本法務(プラチナ)、平成26年度は政策法務(ゴールド)、平成27年度は政策法務(プラチナ)、 平成28年度政策法務(プラチナ)を獲得されています。まずは、受検の動機をお聞かせください。
平成25年度にスタートした基本法務の団体受検がきっかけです。全6回の研修の後に受検という流れだったのですが、研修中は本来業務を離れる分、所属に負担がかかります。また、受検料は公費負担ということ、何より全6回もの講義をしていただいた講師の努力などを考えると、結果を出さないと申し訳ないという想いがありました。ですので、法務能力の向上のためというより、変な責任感からプラチナを取得したことは今でも覚えています。
その努力が実って市長から表彰を頂き、せっかく栄えある賞をいただいたのだから、より高みを目指そうと政策法務にチャレンジしました。
受検後の率直な感想をお聞かせください。
頑張りと点数が比例関係となる試験です。点数=法務能力というよりむしろ、 点数=努力の証・責任感の方程式が成り立つのではないでしょうか。
意見としては、政策法務はもっと知恵を試す問題があってもいいと思います。
今後も「基本法務」「政策法務」を受検されるお考えはありますか。
基本法務は節目ごとに、政策法務は毎年受けたいです。というのも、政策法務は実務面で役立つ場面が多く、自身の法務能力の向上と組織還元にも繋がるからです。
今回の受検で、「自治体法務検定」に対する評価は変わりましたか。もしあるとすればどのような事ですか。
当初から変わりません。法務検定で知識と意識を高め、実務で経験してこそ法務能力は高まると思います。法務検定は、自身と組織の法務能力を高める大きな「きっかけ」です。
日常の業務の中で「検定」を受けた効果、あるいは勉強された効果を感じる場面はありますか。あるとすればどういう事か、具体的にお聞かせください。
一例を挙げますと、今、明石市は中核市移行に向けて準備を進めています。中核市に移行するにあたり、膨大な事務が県から移譲されます。その際、根拠法令をもとに、移譲される事務の内容や、必要となる条例・規則、設備などを実際に読み解いていく作業が必要になりました。法令の中には医療法や旧薬事法や感染症法のようにボリュームが多く難解なものもありますし、そもそも業務経験がない中でいきなり法令から実際の業務をイメージしなければなりません。ここで役に立ったのが「政策法務」の知識です。この政策法務で得た知識をもとに、いかに法令を解釈すべきか、注意すべきことは何かなどを整理し、マニュアル的なものを作り、課を超えて実際に作業にあたる多くの職員にそのノウハウを浸透させることができました。
その他、実務上多くの職場でぶち当たるのが「法令の解釈」の壁だと思います。
白なのか黒なのかグレーなのか、現場で判断するにあたり政策法務の知識により合理的な理由、明確な根拠をもとに方針が立てられる場面が多々ありました。
具体例を挙げるときりがなく、割愛させて頂きますが、私が4年間勉強し続け、これからも続けると言っているのは、相応の理由・意義があるからです。
この「検定」をどんな方に勧めたいですか。また、どんな方が受けたらよいと思われますか。
市民と直接関わりのある事業系部局の方々にお勧めしたいです。市民の権利・利益に関わる業務は何らかのルールをもとに運用しているはずです。その分、市民の要望も大きく、時には苦情や理不尽なクレームにつながるケースもあると思います。また、運用方針が担当の解釈でコロコロ変わってしまっては現場も市民も混乱してしまいます。
そうした時に、明確な根拠をもって説明できる軸が築けていればブレません。法務はまちづくりの「武器」にもなれば、身を守る「盾」にもなることを多くの方に気づいてもらいたいです。
今後の自治体における「法務」の重要性、位置づけについてお考えを聞かせて下さい。
近年、多くの自治体が地域実情に即したオリジナルのルールを制定し、まちづくりを進めています。この条例等を活かしたまちづくり、すなわち政策法務の重要性は地方分権と相まって加速し大きくなることは間違いありません。
検定で高い得点を取られた方の、庁内での活躍の場は広がるとお考えですか。あるとすれば、どのような場面でしょうか。(たとえば例規審査のメンバー、勉強会の講師、その他)
高得点を取るだけでは不十分で、いかに現場で意識して運用し、経験を積むのかが重要になると思います。そういう人は、課の要になれるでしょうし、難局も乗り越えていけるのではないでしょうか。結果的に活躍の場がより広がっていくのだと思います。
受検されるまでテキストで勉強された学習時間、学習方法について具体的にお聞かせください。「基本法務」「政策法務」での違いはありますか。
2つの検定で学習方法に違いはありません。点数のためにやみくもに記憶するだけでは実務では役に立ちませんし(気づけない)、理解のみしても、短期記憶になるだけですぐに忘れてしまいます。大事なことは、理解し、記憶し、実務で気づく、この3つの動作がリンクすることです。
個人的な経験から、政策法務は気づく場面が多く、知識の定着につながりやすいと思います。基本法務は記憶の場面がメインになり、挫折しやすいと思いますが、仕事をするうえでの根幹に関わる部分なので、やり遂げて欲しいです。
学習時間については、知識が定着するまでは、家族が寝静まった深夜、もしくは早朝に1日2時間程度をほぼ毎日学習していました。今では計画的に1か月に1度のペースで振り返り、いつでも引き出せるようにしています。
最後に・・・。自治体法務検定に関しての要望等をお聞かせください。
より多くの自治体に検定が普及して欲しいです。
また、自治体ごとの個別日程での検定ではなく、全国統一の試験日を推奨して欲しいです。そうすることで自分の全国的な立ち位置が分かり、また受検者同士のモチベーション維持にも寄与すると思われます。