自治体法務検定の学習や受検を通して、発想や思考の幅を広げるきっかけにしてほしい
- 日野町役場 総務課
影井様
勉強会のレジュメ・公式テキスト
- 貴町では、法務能力向上に限らず人材育成事業としてどのようなことに取り組んでいますか?コロナ禍における研修について、オンライン実施への切り替えはありましたか?
- 全庁で取り組んでいるのは、DX推進の観点から基礎知識を身につけることを目的とし、今年度からITパスポート試験の受験を導入しました。各課1名以上の受験者を募集し、若い職員を中心に9名程が受験予定です。
階層別の研修としては、県の職員人材開発センターにて用意されている主任級職員研修、中堅職員研修などの研修を希望者が受ける仕組みがあります。管理職も対象に実施しています。
オンライン実施への切り替えについては、職員人材開発センターでの研修の多くがオンラインへ切り替わったこともあり、抵抗感はありません。庁内の研修については、ディスカッションや意見交換を重視するものについては対面で実施しており、コロナの状況や研修の種類によって使い分けています。
- 法務能力について、現在、目標はありますか?目指す職員像なども教えてください。
- 業務に関わる基本的な法律や条例の理解度を上げ、それをベースに会話や業務が成り立ち、ミスなくスムーズに業務を遂行できる状態を目指しています。
該当する法律や条例を意識して業務に携わったり、議会に提案する際に関連する法律を示せたり、そういった過程があること自体が共通の理解となることを目標としています。
自治体法務検定は、地方自治法や個人情報保護法など、全庁共通の法律はもちろんのこと、自治体職員に求められる事柄を幅広く取り扱っているため、導入しました。
- 2020年度から政策法務編を団体でご受検いただいており、2022年度からは基本法務編も団体での受検を予定されています。学習方法やご評価いただける点、課題など教えてください。
- 月1回、平日の30分弱ではありますが、受検メンバーを集めて勉強会を実施しています。テキストの主要箇所を資料にまとめて説明し、各自の進捗状況について確認等を行っています。業務の都合で出席できない人もいますが、受検者とコミュニケーションを持つ機会になっています。勉強会がモチベーションを保つきっかけになればと思います。
政策法務編を継続して実施していくことで、少しずついい方向へ変化していると感じています。2022年度からは基本法務編も導入し、ベースアップを図ります。基本法務編は、政策法務編に比べて難しい印象があり、法律を学んでいない職員にとってはハードルが高いように感じています。
- 影井さん自身も自治体法務検定を受検されるとのことですが、受検に向けた学習方法を教えてください。
- 公式テキストと問題集を使っています。公式テキストを読み、過去問を解き、該当箇所を公式テキストで確認する併用方法が進めやすいように思います。学習時間の確保が課題ですが、業務終了後や朝の時間を使っています。個人的には、隙間時間ではなく、まとまった時間を確保す方が捗ります。
勉強会へ備えたレジュメ作成も学習の一環となっています。
- 貴町では、自治体法務検定の受検者をどのように選定していますか?また、受検における目標などはありますか?
- 入庁2年目以降から30歳台前半くらいまでの一般事務の職務の職員を全員対象とし、ゴールドクラス(700 点~899 点)の取得を目標としています。
基本的には、政策法務編を2回受検したあと、基本法務編の受検へうつりますが、1回目の政策法務編の受検でゴールドクラスを取得できた場合は、2回目の政策法務編の受検をスキップし、基本法務編の受検へうつることができます。公式テキストと問題集での学習結果がスコアに現れているように思います。
- 受検者の方々の感想をお聞かせください。
- 受検後に取ったアンケートでは、「学習時間の確保が難しい」という声があった一方、「法務に関する知識がみについた」という嬉しい声がありました。
- 自治体法務検定の学習や受検を通じて、期待することをお聞かせください。
- 知識のベースアップは、発想や思考の幅が広がるきっかけになります。自治体法務検定の政策法務は、法律以外にも行政のベースになる部分が網羅されており、学習や受検を通じて、視野が広がる土台になるかなと感じています。視野が広がれば、新しい取り組みに積極的に対応できる部分が増えたり、情報収集して理解できる範囲が広がると思います。
自治検の団体受検は原則、各科目20名以上とのことですが、これからも、場所や人数を問わず受検できる検定であってほしいです。
(取材日:令和4年7月12日)