若手職員の法務能力向上のための取り組み
- 武蔵野市役所 人事課
森野 様
武蔵野市では、平成24年度に「主任昇任試験制度」を導入しました。若年層の成長意欲やチャレンジ精神をかん養し、自学を促すことが導入の目的であり、主任昇任を希望する職員が主体的に昇任の意思を表すことにより、昇任後も自律的にその役割を果たすことを期待するものです。また、「主任昇任試験」の受験に際して「法務に関する知識を有することの判定試験に合格すること」を受験要件の一つとしており、その位置づけとして「自治体法務検定」を採用しています。
- 自治体法務検定をどのように位置づけていますか?
- 団塊の世代が退職することに伴い、「次の世代を育てたい」「若いうちから法務能力を身につけさせたい」「自主学習の習慣を身につけさせたい」といったことを実現させるため、上記のとおり、「主任昇任試験制度」を導入しました。
「自治体法務検定 基本法務編」で一定の成績を修めることを「主任昇任試験制度」受験要件の一つにしました。入庁2年目から受検可能としています。公務員試験のために学んだ知識があり、「勉強すること」に慣れているうちに受検する若手職員は合格率が高い傾向にあります。
- 「自治体法務検定」受検に向けてどのようなサポートをしていますか?
- 自学やグループ学習のほか、条例等の審査・管理、訴訟を主な業務とする総務部自治法務課で作成したeラーニングを案内しています。eラーニングでは、基本法務編の章の単位で構成されていて、内容の解説を行うほか、過去問を解説しています。以前は、講義形式の研修を行っていましたが、このeラーニングを導入することによって、職場だけでなく自宅や、育児休業中の職員でも受講できるような環境を整えています。また、eラーニングは自治体法務検定を受検しない職員も受講でき、職員全体の法務能力の向上を図っています。
自治体法務検定公式テキストについて、初めての受検に限り公費で提供します。ただし、問題集は受検者自身で購入いただいています。主任昇任試験のために受検する方だけでなく、自己啓発として受検することも可能としています。
- 受検した方の自治体法務検定に対する評価はどうですか?
- 「自治体法務検定公式テキスト」は非常にわかりやすいと思います。実務に関係する事例が多数掲載されているので、受検のためだけなく日常業務の中でも、法律を調べることが発生した際に役立っているとの声もあります。また、地方自治法、憲法、行政法は研修を受ける機会があることや、日常の業務に関連していることも多いので、なじみやすいという方もいます。一方で、民法や刑法については、業務上、身近に感じることができず難しいという声もあります。
- そのほかの研修について教えてください。
- 主任、係長昇任後にそれぞれ通年の例規研修会Ⅰ・Ⅱを計10回程度実施しています。この例規研修会は、職員の法的対応能力の向上を図り、円滑な市政に資することを目的としています。
例規研修会の中では裁判傍聴の研修を行う回もあります。裁判傍聴の研修については、別途、入庁2年目から5年目までを対象とした「若手職員を対象とした裁判傍聴研修」も併せて実施しています。この研修は若手職員のうちにぜひ一度裁判を傍聴した方が良いという意見が多かったため、平成30年度から実施しています。
- 今後、自治体法務検定に期待することは?
- 武蔵野市の職員として、市民の方への説明責任を果たすため、根拠となる法律や条例等がどうなっているかを意識する習慣が必要となります。「自治体法務検定」の受検を通じて、「法を意識する」「学ぶ力を身につける」職員を増やすことが住民福祉の増大につながるものと考えています。
(取材日:令和元年6月12日)