結果分析データ

2022年度第2回全体講評(政策法務)

 2022年度第2回の一般受検として、今回初めて、オンライン検定を実施した。受検者は多くはなかったが、そのほとんどがクラス認定を受け、平均点も656点と、本年度第1 回の一般受検平均点よりも高い点数となった。 受検者数・受検者の層、問題の内容などから断定的には述べ得ないが、受検者が自治体法務・政策法務の力量を向上させてきていると解してもよいような結果である。設問は、『公式テキスト』 中の基本的なものから、『 公式テキスト』以外の文献などから知識を得なければならない高度なものまで用意してあるが、委員会の方で高度な設問として用意したものでも分野によっては10割(100%)の正答率となっているものがある。本検定に取り組んだ受検者の方々の意欲の高さ、あるいは 積極性や優秀さがうかがえる。

 以下では、受検者数が多くないことから正誤につき極端な傾向が出やすくなっている可能性があることを念頭に置きつつ、今回の結果を分析し検定委員会が期待する、今後の学習についてコメントをしていきたい。

  今回の配点に対する平均点の割合を分野別に見ると、『公式テキスト〔政策法務編〕』のほぼ全ての分野で6割を超えている。正答率が6割に満たず5割台なのは「第5章 自治体運営の基礎に限られる。
 正答率のとくに低い問題は、地方自治特別法における過去の住民投票の実施例など、行政実務ではほぼ扱わない事項を問うものが多い。その点で正答率が低くても致し方なく、検定の結果は検定委員会が期待するレベルには既に達しているのではないかというものになった。もっとも、個人情報保護法制の一元化がスタートし(2023年4月)、さらに2023 年通常国会にも地方自治法改正案が上程されている(改正事項の多くは2024年4月施行予定)など、近年の法律改正は著しい。自治体職員は、常日頃意識しなければならない法律の内容を、最新の状況に更新して記憶していく必要がある。
 毎年改訂する『公式テキスト』 を適宜参照し、次年度以降も本検定に臨んで法務力の向上に努めてほしい。
 
  基礎的な制度内容について確実に理解して得点率を高めていくには、まずは『公式テキスト〔基本法務編〕』で制度的な事項をしっかり理解していくことが大切である。〔基本法務編〕の結果が伸び悩んでいるが、政策法務を進める点でも、〔基本法務編〕 の力を蓄える必要があることをここで強調しておきたい。

 検定委員会は、制度の改正や政策法務関係で見られるようになった新しい問題などを踏まえて、毎年『公式テキスト』の記述の見直しを進めている。2022年度版は、執筆陣も見直しし、例年にないバージョンアップを行った。2022年度第1回の検定でも平均点が前年を上回ったが、第2回はその第1回の平均点をも上回っており、大変喜ばしい。
 
  2023年度から、本検定は年2回のオンライン検定となる。2022年度の第2回検定は、その試行であったといえるだろう。今後は、オンライン検定の特性を活かした検定問題の作問などにも取り組んでいきたい。 個人で取り組むことに不安や限界を感じたときは、身近な人とグループを編成しながら 、分担して報告し合う形で自己の知見を豊富にしていくという手法を試みてほしい。
 自治体法務の能力向上は、関係者の自学・自修が基本である。受検者の各位が、今回の検定での好成績を持続させつつ、より一層の高得点を目指されることを願っている。

2023年3月
自治体法務検定委員会