2022年度第2回全体講評(基本法務)
今年度から自治体法務検定が年2回の実施となり、昨年の10月2日に続いて今年の2月にも実施された。以下では、2月19日に実施された一般受検の結果の概要について評価することとする。総受検者は、44名であり、10月に実施された第1回検定よりもかなり少ない受検者にとどまっている。2月の実施は、今年度が初めてということで、全国の自治体職員に十分に情報が浸透していなかったこともあると考えられ、今後年2回の実施が浸透していくにつれ、2回目の受検者数も増加することを期待したい。
総受検者の平均点は1000点満点中534点であり、10月に実施された第1回検定の平均点579点に比して、45点下回っている。出題された問題が異なっている以上、単純な比較はできないが、今年度第1回の検定結果が、過去13年間の中で2番目の好成績であっただけに、残念な結果である。プラチナクラス(総点900点以上)を獲得した受検者が0名、ゴールドクラス(総点700点以上)の達成者も総受検者の9%(4名)にとどまり、シルバークラス(総点500点以上)以上の認定授与者は総受検者の6割弱の59%(26名)にとどまった。
今回の検定の受検者の皆さんの一段の奮起を期待したい。
必ずしも多くない受検者数の条件下ではあるが、今回の検定の全体的な傾向を紹介しておきたい。
まず、全体の成績が、500点~599点の真ん中のランクを頂点に山型の分布を示している点は、10月実施の第1回検定の結果と同様である。
次に、正答率を分野別で見ると、まず、「序章」が80.7%で、突出して良い成績であった。次に「憲法」(71.8%)、「民法」(55.9%)、「行政法」(54.1%)、「地方自治法」(52.4%)、「刑法」(50.4%)という順の成績である。テキストの章立ての順番とほぼ同じであることから、テキストを用いた受検準備の勉強の進度が間に合わなかった事情があることが推測され得る。仮にそうであるとしたら、最終章の「刑法」までしっかり学習して、再度検定に臨んでもらえれば、はるかに良い成績が望めるであろう。テキストのはじめの「序章」と「憲法」の成績は、10月の第1回受検者の平均点を上回っているのである。
成績が芳しくなかった「行政法」、「地方自治法」そして「民法」の分野では、基本的な条文の正確な理解で容易に正解にたどり着く設問、例えば当事者訴訟(行訴法4条)に関する問28、支出負担行為(自治法232条の3)に関する問10、物の定義(民法85条)に関する問3などの取りこぼしが目につくので、まずは、こうした基本的知識のレベルでのテキストの通読が成績アップの鍵となろう。
2023年度からは年2回の一般受検のオンライン方式への一本化がなされる。緊張感のある会場受検の味も捨てがたいが、コロナの感染状況の如何に関わらず安心して受検でき、外部の環境に煩わされず平素の実力が発揮できるオンライン受検を、大勢の自治体職員が活用してくれることを大いに期待する。
2023年3月
自治体法務検定委員会