結果分析データ

2022年度第1回全体講評(基本法務)

 コロナ禍が終息とはならないものの小康状態の下、新たにオンライン受検も導入した2022年度自治体法務検定(基本法務)一般受検の検定試験が、2022年10月2日に実施された。受検者数が大きく改善するということにはならなかったが、昨年を40名上回る263名の受検者を得ることができた。

 総受検者の平均点は1000点満点中579点であり、過去最高点であった昨年度の597点に次ぐ総12回中2番目の成績であった。また、直近5回の検定の中で6名しかいなかったプラチナクラス(総点900点以上)を獲得した受検者も2名あり、ゴールドクラス(総点700点以上)の達成者も総受検者の23.6%(62名)に及び、シルバークラス(総点500点以上)以上の認定授与者は総受検者の7割を超え、71.1%(187名)に達している。熱心な受検者の皆さんの努力が実った結果といえよう。

 今年度の検定も、コロナ禍の影響により一般受検の受検者が大きく減少しているという特殊事情があるので、過去の検定結果との比較は、あまり有意味ではないかもしれないが、今回の検定の全体的な傾向を紹介しておきたい。

 まず、全体の成績が、500点~599点の真ん中のランクを頂点にきれいな山型の分布を示しており、以前のような400点~499点のランクを頂点としたやや低めに片寄った成績分布ではなくなっている。出題のあり方と受検者の取り組みが調和して安定的なものとなっていることの現れではないかと評価したい。

 次に、分野別で見ると、最も成績が良かったのが、「憲法」と「民法」の分野であり、それぞれ平均点が125点中82点(65.6%)と210点中131点(62.3%)であって、6割を超えている。憲法は、例年、安定して比較的高い平均点となっている分野であり、この傾向は今年度も変わりはない。逆に、平均点が低かったのが「序章」と「刑法」の分野で、それぞれ48%台の成績で5割を若干下回っている。この分野は、年度によって成績の上下変動が大きい傾向にあり、今年度は相対的に低い結果となっているが、5割目前のまずまずの結果であったと評価できる。本検定において最も比重の高い「地方自治法」と「行政法」の分野については、安定的に50~60%の平均点になることはなく、40%、時には30%台の平均点であった年度もあったが、今年度は地方自治法が340点中187点(55%)、行政法が215点中126点(58.6%)の平均点であり、昨年度と2013年度に続く好成績であった。今後もこの傾向が続くことを希望したい。

 また、受検者の属性別でみると、その大多数を占める地方公務員の中では、都道府県職員が市区町村職員よりも成績がよい傾向は例年通りである。基礎自治体の職員の皆さんの奮起を期待したい。

 今回から開始したオンライン受検は2月にも開催され、2023年度からは一般化し、かつ年2回開催する予定である。
 コロナの感染状況の如何に関わらず安心して受検できる条件が整い、かつ自宅に居ながらにして受検することができ、受検機会も拡大することになる。自治体法務の研鑽を積み、その成果を測定する本一般検定を受検する自治体職員が大勢チャレンジしてくれることを大いに期待する次第である。

2022年11月
自治体法務検定委員会