「立ち止まって考える」姿勢
川崎市監査事務局財務監査課 板垣 宏司 さん
法務能力が必要であると実感するのはどんな場面ですか?
現在は監査事務局におり、事務が法律や条例等に従って行われているか、効果的に執行されているかを監査しています。監査をする事務が多岐に渡ることから様々な法律や条例を読む機会が多いため、法制執務や解釈手法の必要性を感じています。また、地方自治法や行政手続条例などの基本的事項について理解しておかなければ、是非の判断ができないことがあります。市民や職員に説明する際に、法律を知ったうえでの理論構成がないと説得力がないと感じています。
板垣さん |
受検するにあたって、どんな勉強をされましたか?
公式テキストを2~3ヶ月前から3回読みました。1回目はひと通り読みながら重要と思われるところや理解不足の部分にアンダーラインを引き、2回目はアンダーラインを引いたところを重点的に、3回目は全体の最終確認というように勉強しました。計画を立てて実施することを心掛けていました。ただし、仕事が忙しいときは無理しない(笑)
検定の学習は実務に役立つものでしたか?
地方自治法、行政手続法、行政事件訴訟法、情報公開制度等、自治体職員にとって重要な知識を幅広く勉強できる良い機会になりました。現在関係のない職場にいる人でも、関係する職場に異動する可能性は非常に高いと思います。
『自治体法務検定公式テキスト』はお仕事に役立つ情報が盛り込まれていますか?
テキストは非常に力を入れて作られていて、政策法務の集大成のような印象を受けました。また、判例や具体例といった実務者向きの内容が豊富に含まれていました。分かりやすい内容なので法務に不慣れな人にも向いていますし、慣れている人にもこれまで疑問に思っていたことが解消されるような内容があると思います。地方自治法、行政事件訴訟法など、昇任試験に役立つところもあるでしょうし、昇任試験に関係なくても、引き出しを増やすために後輩に薦めたい一冊ですね。
自治体法務検定を受検したきっかけは何ですか?
もともと政策法務に興味があり、個人的に大学の夜間公開講座を受講したり、専門書を買って読んだりしていました。雑誌で自治検の広告を見つけ、こんなものが始まるんだ、面白そうと思って申し込みました。
受検して良かったと感じることはありましたか?
自分が理想と考えることと法律の規定が一致しないときに、市民や自治体にとって良いものなら、簡単に諦めてしまうのではなく、なんとかならないかと立ち止まって考えてみる、そんな姿勢が身についたことです。「法律に強く法律を使おうとする職員」という言葉がテキストにありましたが、そのような職員を目指したいですね。また、日常業務においては、上司から法務関係について考えを聞いてもらえることが多くなったように感じています。自分が何に興味がありどんな勉強をしているのか、周りに知ってもらう良い契機になるのではないでしょうか。
今後、自治検に期待することはなんですか?
政策法務の考えは、実務で浸透していない部分もあります。ただ、国の解釈に従っていれば裁判で勝てるという時代でもありませんし、国と対等にやっていくための論理構成などを自分で考えていかなければなりません。そのための一歩として広く活用される存在になっていってほしいと思います。