全国リレーシンポジウム 札幌会場レポート
自治体法務検定・全国リレーシンポジウムの第6弾は、平成24年5月24日に札幌国際ホールで開催されました。
■基礎自治体自らが動く必要性
第1部の基調対談では、大森彌氏(東京大学名誉教授)と久田徳二氏(北海道新聞社編集委員)により行われました。大森氏は、この地域主権改革を契機に、都道府県と基礎自治体は、互いの役割、地域の住民たちが自らの責任で課題に取り組むための「住民の自治」という体制を考え、特に基礎自治体自らが動くことの必要性を強く訴えました。
また、最近話題の大阪都構想にも触れ、これは府が市の税・財源を握ることを目的とするようなもので本質的な分権とは意を異にするものであり、「地方分権」という名の下に大都市地域のエゴイズムが押し出されていることに危機感を示しました。さらに、北海道という地域の特性を挙げ、税・財源の課題はあるものの区域問題がない北海道は、沖縄と並び「ひとつ」であることを活用して、積極的に道としての体制を創り上げていってほしいとエールが送りました。
札幌会場の模様
■条例は成長する
第2部では久田氏の司会の下、パネリストに片山健也氏(ニセコ町長)と多田健一郎氏(北海道副知事)、コメンテーターに山口二郎氏(北海道大学教授)を迎え、「地域主権改革と北海道の地域課題」と題したパネルディスカッションが行われました。片山氏と多田氏から、道や町独自の条例が紹介され、地域の課題について討議が行われました。
片山氏は、「住民の命を守る」ことを目的として制定したニセコ町水道水源保護条例制定を例に挙げ、住民と対話して本当に必要なものを条例化することが実務的な分権であり、国に依存するより前に現行法でできることへの取組を実施していくこと、自分たちが自分たち自身を変えるという意識を持つことが必要であると、地方自治体の役割を強く訴えました。
山口氏からは、東日本大震災以降の地域の依存度についての問題提起があり、これに対しては、両パネリストから、地理的にも食糧供給等についても北海道の資源こそが活用されるべきであって、他の地域とも連携して「緑の分権改革」への積極的な取組を行いたいとの意気込みが語られました。