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全国リレーシンポジウム 仙台会場レポート

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自治体法務検定・全国リレーシンポジウムの第4弾は、平成24年5月10日仙台市青葉区のアエルで開催され、「東日本大震災と東北の地域課題」と題して、地域主権改革の視点で震災復興策を探る議論が交わされました。

 

第一部は、「がんばろう!東北~東日本大震災と東北の地域課題」をテーマに、増田寛也氏(東京大学客員教授、元総務大臣、元岩手県知事)と鈴木素雄氏(河北新報社論説委員長)による基調対談が行われました。

 

増田氏は震災のあった2011年を「自治体連携元年」と位置づける一方、国の対応の遅れを批判したうえで、「ボランティア元年」と呼ばれた阪神大震災(1995年)に対し、「東日本大震災で市町村間の水平的連携が自主的に行われた意味は大きい。命を守る原点は基礎的自治体である」と評価しました。

 

第二部のパネルディスカッションでは、まず司会の鈴木庸夫氏(千葉大学教授)が、「震災復興は、新たな法制度を作ること」だと述べ、復興の切り札として成立した復興特区法に触れて問題提起が行いました。

 

奥山恵美子氏(仙台市長)は、高速道路無料化に伴い被災証明の発行申請が殺到した事例を挙げ、「現場感覚の欠如した国の施策により行政が混乱した。抜本的に災害法制の組み立てが必要」との問題認識を示しました。

 

伊藤和彦氏(宮城県震災復興企画部長)と加藤主税氏(岩手県総務部長)からは、被災地の現状と復興への取組みが説明された。伊藤氏は、「今は1000年に1回の地域づくり。災害時においてもっと地方に権限が移っていれば、何とかなることがあるのではないか」と地方分権の必要性を述べ、加藤氏は、「震災では、様々な判断の局面があった。自治体の判断を活かす仕組み、意志決定を尊重する仕組みに変えていかなければならない」と自治体の役割と責任を強調しました。また、奥山市長は、地域主権の視点が「災害の時こそ重要である」とし、基礎自治体の役割を果たすために、「職員は、権限とともに不利益を引き受ける覚悟も必要」と職員の能力向上の必要性の認識を示しました。

 

今後の課題として、鈴木素雄氏は、福島第一原発事故の影響で居住地に帰れない人が多数存在し、役場機能が戻らない福島の現状に触れ、「自治体崩壊の危機にある福島を東北全体で支えていかなければならない」と語りました。増田氏は「住民自治による東北再生を実現するため、議会と自治体職員の頑張りに期待したい」とし、3時間にわたるシンポジウムを締めくくりました。